業界的には古典『ピープルウェア』を読んだら名著だった
ソフトウェア界隈では有名なピープルウェアを読みました。本質的で普遍的なアドバイスがたくさん書かれており備忘録としてブログに残そうと思いました。
感想
- 技術的にも知見が広いであろう筆者がソフトウェア開発の問題は社会学的と割り切り、課題とソリューションを提示していて面白い。
- 品質重視、チームビルディング、改善に関する考えは、リーンスタートアップやアジャイルの思想に対する先駆けであると感じた。
- 現在マネジメント職をやっているほとんどの人にとって耳の痛い話が多い。普遍的な課題として昔からあるが解決が非常に難しい問題を扱っているとわかる。
- 「 電話を減らそう」「メールでのやり取りTips」の部分に関しては時代をとても感じる。逆にギャップを感じるのはこの話くらい。
抜粋
備忘録として残したい内容を私なりにカテゴライズした上で以下に抜粋します。
ソフトウェア開発で起こる問題の正体は・・?
- ソフトウェア開発での問題の多くは技術的よりも社会学的問題である。
- 仕事の人間的な側面より、技術面に注意を多く払うのは、重要だからではなく、単にやりやすいから
- プロジェクトメンバーを結束させる能力のある人は、普通に仕事をする人の二人分の価値がある。
品質第一
- 大抵の人は自尊心を自分の作った製品の品質と強く結びつける傾向がある。
- プログラマーを満足させる最低基準は、今までに達成した最高の品質である。この水準は、マーケットが望み、金を払って手に入れようとするものよりも、ずっと高い。
- 品質至上主義は、世間一般からチームを際立った存在にするので、チームを一つに結束させる役割を果たす。
真のマネジメント、リーダーシップとは
- マネージャーの役割は、人を働かせることにあるのではなくて、人を働く気にさせることである。
- 与えられたグループでやっていこうといったん決めたならば、最良の戦術は部下を信頼することである。ダメな部下でも成功を保証するために防衛的な手段を取れば、自体は悪化する。
- 本当の意味での自主性や自由とは、マネージャーとは違ったやり方で仕事を進められるということだ。
- 最大の成功は「マネジメント」などないかのように、チームがなごやかに一致団結して働いたときである。
開発チームと生産性について
- もし、彼らが最初の時点でその仕事に向いていなければ、ずっと向いていない。こうしたことは、最初に人材を揃えることが何よりも重要だということを意味する。
- 挑戦はチームのメンバーに一緒になって努力する目標を与えるからこそ重要なのだ。挑戦はチームを一つにまとめる道具である。
- チーム編成の目的は、目標を達成することではなく、目標を一致させることである。
退職率を減らすには
- 算出すると人材の退職が企業にとってマイナスでしか無いのは明らかである。
- 退職率が最も低い会社に共通した特徴は、生涯教育プログラムの充実である。
- 人への投資をきちんとマネジメントしている企業は、長い目で見ると繁栄する。
プロジェクトのリスクについて
- プロジェクトがリスクを抱えていることは、その価値を示す印かもしれないということは強調しておく意味があるだろう。
- 私たちがマネジメントし損ないがちなリスクとは、自分自身が失敗するリスクである。
改善について
- 以下に、人々にやり方を変えるように頼むときに、あなた自身に繰り返し唱える呪文を教えよう。呪文: 変化への基本的な反応は、論理的なものではなく情緒的なものである。
- 一般的に、どのような改善にも変化に巻き込まれる人たちがいる、ということを思い起こすのはいいことだ。